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心に届く「ことば」に触れて

昨日、福江文化会館で、元NHKアナウンサーの山根基世さんの講演会がありました。

そのお知らせのポスターが図書館に登場したのが、確かまだ夏の暑い盛りのことでして、それ以来ワタクシはこの10月の連休が待ち遠しくてたまりませんでした。

そして昨日、午前中はコータロー&母ちゃんの田んぼの稲刈りを早々に済ませ、良い席を取らねば!開場と同時に入らねば!くらいに気合いを入れて行ったら、なんのことはない、席はいくらでも空いているのでした。

この講演会は「昔話を楽しむ九州・沖縄交流会 in 長崎」の一環で行われたもなので、九州各地からその会に参加するために五島に訪れているヒトビトが中心だったようですが、この講演会はもっともっと多くの人に聞いて欲しかった、と思わずにはいられませんでした。

本当に素晴らしかったのです。

一流の仕事をされている方を生で見るだけでも何か得るものがあると思いますし、ましてやこのお方は「話すこと」のプロフェッショナルなのですから、講演がつまらないはずがないじゃありませんか。

ワタクシは彼女の話す、正しい日本語の発音にまず心打たれました。美しい、と思いました。特に子音の響きにワタクシは聞き惚れて、ぽーっとしてしまったくらいです。そして、お話の構成や内容はごくごく自然に流れるように、まるでこちらは世間話でも聞いてるような肩のこらない楽しいものでありながら、彼女からのメッセージはしっかり届き、ワタクシたちの思考を一つの進むべき方向に導いて下さるようなものでした。

それはもう見事な技!としか言いようがなく、どんなことでも「プロの仕事」というのはこんなにすごい、ということが体験できました。「心に届く『ことば』を話すこと」というのは、こういうものか、と実感しました。おかげで彼女の「ことば」を受け取ったワタクシの心は、翌日の今になっても熱いままです。

演題は「子どものことばを育てるには」ということでしたが、山根さんが保育園などでの読み語りの活動などいろいろやってみて、結果的に「こどもを育てるには地域の力が必要」というところに行き着いた、とおっしゃていたのが印象的でした。

ワタクシが、今この地域に住んでいて、いいなぁ、すごくいい暮らしなんだけどなぁ、と思いながらも、「自然環境の良さ」だけではいまいち弱いな、と感じていたところだったのです。何が弱いかって、例えば誰かに田舎で子育てすることを薦める理由として、ということですよ。

子どもが育っていく過程において、自然が近くにある、というのはもちろん大事なことだけど、それだけではなく、いろんな年代のヒトビトと関わることができる環境がまだ残されている、ということが、子どもにとっては「人間を学ぶ」機会を与えられる、ということだったんだ、と気がついたのでした。その機会というのが本当に重要で大切なこと、ということが、山根さんのお話からひしひしと伝わってきました。

だからですよ、子育て世帯はぜひとも田舎に帰りましょう、とワタクシは言いたいですね。まぁ、ワタクシたちは地元に帰ったUターンではなく、「よその田舎」に行ったIターンなので、説得力はないかもしれませんが。それでも、近所のヒトビトに声をかけてもらえる、何かの行事の飲み会などで大人たちを観察する機会を得られる、わが家の子供たちは、本当に恵まれているのだ、と確信した次第です。

よそから来たワタクシたちでさえ、そうなのですから、地元だったらなおさらです。ぜひとも子育て中(特に乳幼児の)の皆さま、今からでも遅くありません。Uターン、Iターンを前向きにお考えくださいませ。

そして、子どもがいなくても、あるいはもう大きくなって巣立っていった、というヒトも、地域で「子どもに関わる」ということを、どんな形であれ、やっていくことで、世の中は少し良くなるのでは、と思えました。

さて、そのように思うワタクシ、今日の午前中は、小学校の田んぼの稲刈りがありまして、飯炊きをしてまいりました。
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ごはんを炊いて、オムスビを作るなんてことは、カンタンなことだと思われているかもしれませんが、「『話す』ということは誰でもできる簡単なことと思われているけど、本当は非常に難しいこと」というのと同じく、これが実に難しいことなんですよ。

ごはんを炊くのって難しいなぁ、と今日も思いました。

それでも、いつかは山根さんのようなプロになりたいものだ、と思いました。なにしろわが家はお米を作っているのですから、それを美味しく炊けるようにならなければ!!

などということを、思いました。

昨日の講演を企画して下さったヒトビト、そして山根基世さま、本当にありがとうございました。

そして、今日はありがとう子供たち、先生たち!
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みんな頑張りました。
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さてさて、今から今度は「うとん山農場」の稲刈りです。











Commented by 伊藤砂織 at 2015-10-17 15:29 x
こんにちは!急に寒くなって息子の鼻水は出てますが、家族みんな元気です♪
とても参考になるお話読みました、ありがとうございます。
確かに子供と地域の関わり合いは昔と今とでは違いますし、地域によっても大きく違いますよね。
「人間を学ぶ機会」は、生活していて自然に得れるかというと都会ではなかなか難しいかもしれませんね。

福江とかたしさんのあるエリアとでは、地域性の違いはありますか?
中心部でも島内ならさほど差はないですか?
Commented by sanahefuji at 2015-10-18 06:42
ホントに朝晩冷えますね。でもこちらは昼間がまだ暑くて、気温差がすごいです・・。

えーとですね、ここの福江島は島にしては大きいので、地域によってかなりいろいろ違います。そして、「かたし」のある辺りと中心部とでは生活は全く違うと思います。

今はどこでもそうだと思いますが、田舎にいても、自ら意識して積極的に出ていかないと、地域社会とそれほど関わらなくても暮らせてしまいますし、それは自然も同じことで、田舎にいてもゲーム三昧などなどで自然に触れることが少ない、ということもめすらしくないと思います。

ただ、自分が求めさえすれば、自然も地域社会もすぐ近くにまだ残っている、というのが都会とは違うところでしょうか。


Commented by 伊藤砂織 at 2015-10-19 21:17 x
なるほど〜、そうなんですね。
子供達がどうやって日常を過ごすかは、親がどのような環境を選択しているかによって随分変わりますもんね。
せっかくの環境があっても自分がその地域に溶け込もうとしなければ、場所はどこでも同じと言ったところでしょうか。

かたしさんのような環境をいいないいなと思いながらも、田舎暮らしが本当にしたいのか、本当にできそうかどうか自問自答の日々です〜w
Commented by sanahefuji at 2015-10-21 13:44
人それぞれ、求めていることも違いますし、抱えている事情も違うので、なんとも言えないのですが、場所も人と同じで「縁」なのかな、という気がしています。

無責任でスミマセン・・・。

by sanahefuji | 2015-10-13 14:00 | 催し物等 | Comments(4)

ここは五島列島福江島。「かたし」とは椿の古い呼び名です。2001年にIターンして就農した私たちが週に一度、土曜日だけやっている直売所&飲食店、ときどき居酒屋(居酒屋は予約制)「かたし」(2016年に「木ノ口かたし」に改名)での出来事、五島の暮らしの日常などなど。日本の端っこで繰り広げられる、ささやかな人生劇場を綴っていきます。


by 山﨑早苗