人気ブログランキング | 話題のタグを見る

気が重いことにも意義があるらしい

誰にでも気が進まない仕事の一つや二つは抱えているでしょうが、ワタクシも目下そのような仕事を抱えていて、とりかかるのに大変な労力を要しております。

それは、一昨年から就任しております農業委員として、農地の調査をすることで、ワタクシのような地元のことをよく知らない人間にとっては、農地の所有者の名前が一世代違っていると、もはやお手上げ状態、誰の事やらさっぱり分からない、ということになります。そして何回聞いても覚えられない、という体たらく。

また、知っていたとしても、その方のお宅を訪れて、自らの身分を説明し、調査の内容を説明し、解答を得る、というのは本当に冷や汗タラタラものでありまして、毎回のごとく寿命が縮む思いです。

しかしまぁ、そのような苦手分野のことが廻ってくるということは、ちっとばかりその分野を鍛えなされ、という天からのありがたい配慮でありましょうから、甘んじて受け入れねばなりませぬ。

気が重いことにも意義があるらしい_b0317003_14233736.jpg
第一次産業に従事するヒトビトを訪ねるには、荒天の日か、あるいは昼ごはん時、または夕餉の時間などなどが向いておりますから、今日のような荒れた日にこそ少しでもやらねば、と、テクテクと回りました。「木ノ口かたし」も「うとん山農場」も海のそばではありませんから、こんな景色を見るのも久しぶりのことです。

農地の調査に回っていて、いつも目の当たりにするのは、年老いたヒトビトの、安楽ではなさそうな暮らしの様子です。

荒れた農地を見てもそうですが、なんとも複雑な心持ちになることです。

自分たちのことも、よくよく考えていかねば、と思ったりもします。

それはともかく、家に戻って来ると、「木ノ口かたし」のトイレが少し進んでいました。
気が重いことにも意義があるらしい_b0317003_14245152.jpg
それこそ、年老いたご夫婦が長年住んでいた家を引き払うことになり、その家を解体した時の床板が使われております。

気が重いことにも意義があるらしい_b0317003_14255553.jpg
引き受けて、引き渡す、その流れがずっと廻っていくように、いろいろ考えようと思いました。

by sanahefuji | 2016-02-16 22:55 | 新生「かたし」ができるまで | Comments(0)

ここは五島列島福江島。「かたし」とは椿の古い呼び名です。2001年にIターンして就農した私たちが週に一度、土曜日だけやっている直売所&飲食店、ときどき居酒屋(居酒屋は予約制)「かたし」(2016年に「木ノ口かたし」に改名)での出来事、五島の暮らしの日常などなど。日本の端っこで繰り広げられる、ささやかな人生劇場を綴っていきます。


by 山﨑早苗