暖かくなると、人間も動き出すようで、先週に引き続き今週の「木ノ口かたし」もなかなか濃い感じでした。
土曜日というのはワタクシにとっては1週間のうちで一番忙しい日です。
何故かというと、「木ノ口かたし」の店番があるのはもちろんのこと、昼には子供たちを合唱の練習に送っていかねばならないし、夕方には合唱のお迎えに行く前に生ゴミ回収&農場仕事を終わらせなければならないし、帰ってきたら店の片付け&晩御飯、という具合です。
しかも、その生ゴミ回収の際の豆腐屋さんの「おから」や豆腐の残りものが、土曜日は普段の倍くらいあるので、これを他の生ゴミと一緒に車に全部積みこむのも一苦労です。後の荷台だけでは足りずに後部座席の足元にまで「おから」が詰め込まれた袋を積まねばならなかったりします。
なので、ワタクシは考えまして、昼に子供たちを合唱に送っていった帰りに「おから」を集めてしまって、一旦農場に運んでしまえば、夕方の生ゴミ回収時に「おから」がない分ラクである、おお、なんていい考え、そうしよう、と思いました。
やはり昨日も車の後の荷台いっぱいの「おから」&豆腐があったので、よしよし、これを持って行っておけば夕方がラクだぞ、と家に帰る前に農場に向かいました。
ところがこの時、数年前までは普通に通っていたけれど最近は通っていない山道の方から行こうとしたのが間違いでした。
前は普通に通れた道が、すっかり様変わりして、道の両端に羊歯が生い茂り、木の枝が伸び、なんだかヨクナイ雰囲気。それでも前に通っていたイメージが捨てきれず、そのうち明るくなるかも、と、そのままずんずん進むと、さらに道は木で覆われて、もはや先に進むことは不可能な有様で、かといってUターンできる場所はナシ。
そんなふうに羊歯や木で覆い尽くされて狭まった道を、バックして引き返すことになり、確かに暖かい日であったけれども、気温のせいだけではなく大汗をかきました。
まぁしかし無事に戻れてヨカッタです。
そのことで、その道はもはや誰も通っていない、ということを知り、そして、ほんの数年の間放置されただけで、舗装された道でさえこんな様子になるのなら、舗装されてない道などあっという間に消えてなくなってしまうのだな、ということを悟りました。
家や田畑も然り。
人が出入りして、気持ちを向け、手を入れ続けていなければ、あっというまに荒れてしまうのです。
そんなふうにして山に返ってしまった田畑のことを耕作放棄地と言いますが、その中でももはや田畑に戻す可能性がないものを「非農地」と変えさせてもらって事務処理していく、という仕事を農業委員会で行っておりますが、それがものすごく膨大な量なのです。
ワタクシにとっては、人の名前も場所もよく分からなくて、タイヘンな作業です。もちろん全部は出来ません。それでも、少しずつ少しずつ分かるヒトに聞きながら進めています。
既に亡くなっているその土地の持ち主の名前と、今ここに生きている方の関係などを聞き、誰と誰がつながっているんだな、とか、このヒトはどんなヒトだったんだろう、とか、ここでどうやって生きていたんだろう、などなどと想像もめぐらせながらやっています。
なんせ苦手な無味乾燥のデータを読む、という仕事ですから、そのままだと膨大なデータを見ただけで、頭が拒否してしまうので、なるべく温度を感じられるように工夫しながら。
農業委員の仕事はあと1年と少しなので、その間、この地域の歴史の一端を学ぶつもりでやるしかないなぁ、と思っているところです。
仕事、というのは本当にいろいろなことがあるものです。
そしてつくづく思うのは、「うとん山農場」やら「木ノ口かたし」やら、農業委員やら竹修行やらなんやらかんやら、やっていることが、全部つながっている、ということなのでした。
これが仕事でこれが趣味、とかいう明確な区分がなく、興味の対象が本当に見事につながっていってる!
と、最近ではよくよく思うのです。
面白いです。