郷土誌が面白すぎる件

一昨日「木ノ口かたし」を訪れて下さったお客様で、郷土史に興味がある方がいらっしゃいましたので、そう言えば先日広報と一緒に配られた郷土誌があったなぁ、と持って来てみたところ、大変よろこんで下さいました。
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立派な郷土誌でしかも読みやすく現代語表記にして下さっているのです。ワタクシはまだパラパラとしか見てなかったので、読んでみたら、こんな部分がありました。

「第四節 青年の風儀」

「各集落の青年は従来、若者組として十五ないし三十五歳までの男子で組織され、旧正月、七月の休閑の時期を利用して総集会を開き、酒宴をも催して、ただ女子の素行に対する制裁を議論して、無理に従わせるような手段を用い、とても荒い行為が多い。

そうして夜は、大勢で道の上であたりかまわず大声で歌い、歌が上手なことを自慢する。時には道路に障害物を置いて老若男女の通行を妨げ、各宿所に群集してひとつの賭け事によって飲食し、酒宴を開いて深夜まで他人の安眠を妨げる等、非常に公徳心が欠如している。

同集落民と道で会っても、一礼さえもせず、知らないふりをしたまま通行し、したがって年長者を敬わないことを男気だと思って、同志に傲慢であることを誇っている。

たまたま暇があって読書をしても、ただ無駄に小説、戯曲類を読みふけって、何ら修養を計ろうとする者はなかった。」

等々、ひどい言われようです。ところがこの先に続くのは、明治41年に戊申詔書なるものが発布されると、それまでの風紀が改善された、というようなことが書いてあるのです。

よくよく読んでみるうちに、ここには非常に重要なことが書かれていない、抜けている、ということに気がつきました。

その「戊申詔書」が発布される前の時代、日露戦争のための増税などで地方財政は破綻に追い込まれ、地方の疲弊・荒廃が深刻な状況になっていた、ということがあるらしいのです。

それで出てきたのが「戊申詔書」であり、「地方改良運動」であった、ということ。

それを知らないで読むと、昔の若いモンはホントにヒドイならず者ばっかりやったんやね、などと笑って終わるところでした。

本当に戦争はヨクナイ、ということが、この郷土誌からも分かりますね。ハイ。

それから、もう一つ、これは記述したヒトの性格を疑うようなところ。

「第七節 気質上の短所及び弊習」

「短所や良くない習慣は長所や素晴らしい習慣よりも一層多い。しかしこれをいちいち列挙するのは、この土地の住民の悪を暴いて公表することになるため、私は人のために堪えられない。したがって項目のみにとどめ、詳しくは書かない。」

などと書いているのに、なんとその項目が10個もある!

殆ど詳しく書いているのと一緒じゃないか、とワタクシは思ったのですが、どうでしょう。

しかも、この「私は人のために堪えられない。」とか書くあたりに偽善のニオイを感じますな。

その10項目はどんなことか、と言うとですね。

一、時間を守ろうという考えに乏しい。
一、集落的根性が強い。
一、利己心が強い。
一、納税の義務を履行しようという考えが薄い。
一、公徳心に欠けるところが大きい。
一、祖先を崇拝する気持ちが乏しい。
一、日常的に礼儀を守ることが少ない。
一、婦人の貞操観念が乱れている様子がある。
一、迷信に強い。
一、あだなをつけることが多い。

だそうです。

やっぱりワタクシはこの土地のヒトビトのことよりも、これを書いたヒトの方により多くのモンダイを感じますな。

このように、地域の郷土誌というのは読んでタイヘン面白いものです。これも現代語に編集しなおして下さった方々のおかげです。

ありがたいことです。

まだまだザッとしか読んでいないので、時々ゆっくり読みたいと思います。

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そんな「ならず者」の子孫だとは思えない、心やさしいヒトビトが多いですよ。今日は釣ったばかりの鰺をたくさん頂きました。美味しかった~。





by sanahefuji | 2016-07-18 14:37 | 五島のこと | Comments(0)

ここは五島列島福江島 「かたし」とは椿の古い呼び名です。Iターンで新規就農した私達が週に一度だけやっている直売所「かたし」での出来事、農家暮らしの日常などなど。日本の端っこで繰り広げられる人生劇場を綴っていきます。


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