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心の支柱

図書館の本の返却期限が8月1日だったので、どうしても返さねば、と思って昨日図書館に行きました。

本当にお恥ずかしい話ですが、ワタクシは返却日を守らない常習犯で、いつも遅れてしまうので、そういうところがイカンのだ、と思い、絶対に返却日を守ろうと心に決めていたところだったのです。一事が万事と言いますからな。

それで昨日、図書館に行ったらばですね、この本がまるでワタクシを待っていてくれたかのように、そこにありました。
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迷いの多いワタクシに一筋の光明をもたらして下さるに違いないこの本、さっそく借りてきました。

いつの間にかワタクシも四十路の半ばを過ぎ、もし長生きできたとしても、既に人生の半ばを過ぎたわけなので、残された自分の人生の時間や労力を何にかけるのか、ということを考えた時、自分の中でそのことはもう明白です。

以前にも書いたことがありますが、自分にとって幸せな出会いや経験をたくさん与えてくれた「農業」「合唱」「田舎の暮らし」これらのために自分が出来る限りのことをする、ということです。

そして、前々からその3つの他に「言葉」ということを入れたいという思いもありました。

人間が育つためには食べるものや環境なども大切ですが、この「言葉」の重要性というのを、最近特に感じるからです。

もう随分と前のことですが、いつものように土曜日の早朝に「木ノ口かたし」の開店準備をしながらラジオ深夜便を聞いていると、その時「明日への言葉」というコーナーで「心をほぐす詩の授業 奈良少年刑務所での取り組み」というのをやっていました。

この題名通り、奈良少年刑務所で、作家で詩人の寮美千子さんという方が、少年受刑者に詩の授業をした9年間の取り組みについて語って下さっていたのですが、少年たちの閉ざされた心が詩の授業によって徐々に開かれていく様子、少年たちの作った詩にワタクシは大変感銘を受けました。

最後に、一人の少年がお母さんを思って作った「空が青いから白をえらんだのです」という詩にシンガーソングライターの方が曲をつけて歌っている歌が流れたのですが、それを聞いたワタクシはもう本当に涙涙で、朝っぱらから随分と泣きました。

この少年たちが、刑務所に来る前に、そういう授業を受ける機会があったら、自分の気持ちを表す「言葉」を持っていてそれを聞いてくれる人がいたら、罪を犯すことはなかったのではないか、というようなことは寮美千子さんも仰っていたと思いますが、ワタクシも本当にそうだと思いました。


やはり以前に、元NHKアナウンサーの山根基世さんが五島に講演にいらした、ということを書きましたけれども、その時に聞いた印象的な話が最近読んだ御著書の中にありました。

作家の立松和平氏との対談の中で、

「私は今、子どもの言葉を育てる、ということを目標に掲げて活動しているけれど、とにかく子どもの言葉は地域の人との繋がりをもう1回繋ぎ直すところからはじめないと育たないと思って。
 だから地域づくりと絡めて、一つの共同体ができて、子どもの言葉を育ててゆく、こういう形を全国に作っていきたいと思っているんだけど、ああ、そっか、これは立松さんが言ってたことと同じだって。」

というような箇所がありましたので、それをここに記しておきたいと思います。

世の大きな流れは明らかに別の方向に流れ続けている、と思いますが、たとえ小さな力しかなかったとしても、ワタクシも何か出来ることをしたい、と思っています。

昨日借りた石牟礼道子さんの、この御本をパラリとめくって1ページ読んだところで、じーん、として、そんなふうに思ったのです。

フト、顔を上げるとそこには、ちゃんとこんな標示が掲げてある!
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そうだそうだ、そうなんだ。その大志は何も世間の誰もが「おぉ」と思うようなことでなくてもいいのだ、とも思いました。どっちにしても少数派の人生です。でもその中で、自分が美しいと思うもの、大切だと思うもの、を、きちんと守っていけるような力が欲しい、と思います。

と、まぁこのようなことを、ここに書き連ねているのも、ワタクシの心はじつにフラフラとしていて、言ってることとやっていることが一致してなかったり、決めたことを守れなかったり、タイヘンに弱いからなんです。

もともとがデラシネ(根なし草)気質、旅人気質で、いつ糸の切れた凧のようになってしまうか分からない、という恐怖も自分の中にあるのです。

あ、そうそう、ギリギリ体質もやっぱり変わらない。

子供の合唱の衣装、難しいところは他のお母さんがやって下さっていて、自分は簡単なことだけすればいいというのに、それが明日までなだというのに、終わってないんです、トホホ。

情けなし。

では、今からガンバリマス。

こんなの書かずに、そっちを先にやればヨカッタのですね。

しかし、ワタクシは心の支柱ともいうべき、石牟礼道子さんの新しい本が手元にあって、それが嬉しくて仕方なくて、書かずにはいられなかったのです。









by sanahefuji | 2018-08-02 22:27 | | Comments(0)

ここは五島列島福江島。「かたし」とは椿の古い呼び名です。2001年にIターンして就農した私たちが週に一度、土曜日だけやっている直売所&飲食店、ときどき居酒屋(居酒屋は予約制)「かたし」(2016年に「木ノ口かたし」に改名)での出来事、五島の暮らしの日常などなど。日本の端っこで繰り広げられる、ささやかな人生劇場を綴っていきます。


by 山﨑早苗