五島に住んでいれば、いろいろな海を見ることができます。自分がそうしたいと思えば、一日中、海を眺めていることもできるでしょう。
しかしながら、ワタクシが一番好きなのは「チラリズムの海」である、と以前書きました。
これは、下り坂になっている道を車で走っている時に、遠くに見える海がすぐに見えなくなってしまう、という、そういう状態で見る海のことで、この一瞬だけ遠くに見える海、というのに、いつもワタクシはときめいてしまうのです。そう「チラリズム」の如くに。
この「チラリズムの海」も、その日の天候とか空気の状態によって、色が変わります。
昨日、3月11日の「チラリズムの海」の青、というのが、あまりにも美しく、その色の残像が瞼の裏に今もはっきり残るほど、印象的な青い色をしていました。一番、好きな青かも、と思いました。
本当に、ほんの一瞬見ただけなのに。
いちいち大袈裟なのですが、あんな青い色を見られただけでもワタクシはここに住んでいてヨカッタ、などと思います。でも、もしかすると、そういうもの、例えば昨日の海の青、とか、自然の中にある何かの色、とか、音の旋律とか誰かの笑顔とか言葉とか、そんなささやかなものが、タイヘンな状況に置かれた時に、自分を救ってくれることも、あるのではないか、と思うのです。
昨日、3月11日、「チラリズムの海」の青い色を胸にたたえて、東北の海に思いを馳せました。
ワタクシは、あの時も、今も何も出来ないのだけれど、この、どこまでもつながっている海の青い色を見て、今にきっとワタクシも、何か自分の仕事、と言えるものを、きちんとしよう、と心に誓うのでした。
今は何も出来ていないけれど。